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振り向けば…
第47章 20年分の信頼…
私が湯船でぬくぬくとしてる間に悠真が手際よく自分の頭や身体を洗い出す。
全ての基準が効率的という考え方をする悠真。
悠真の基準を知りたいと思う。
何が可愛くて何が綺麗なのか…。
何が楽しくて何が嬉しいのか…。
僅かな感情で悠真が何を感じるのかを知りたい。
「ゆう…、玲奈さんは美人だけど悠真の中で好きって感情は別物なん?」
「当たり前やんけ。」
悠真が笑う。
それは芸能人であったり映画女優を綺麗だと感じる感覚と同じだと悠真が言う。
「それに綺麗やから必ずしも好きになるかどうかは別問題やろ?美人でも嫌いな役者も居るし、芸術作品なんか綺麗でも興味がない作品なんか山ほどある。」
確かにそれは当たり前の事…。
ますます悠真の基準がわからなくなって来る。
「じゃあ、今まで付き合って来た女の子の基準は?」
「基準?」
「付き合うって決めた理由…。」
「理由はないな。向こうが付き合いたい言うから付き合っても俺が気に入らん場合はすぐに別れるって条件だけを付けて付き合って来ただけや。」
「私の場合は?」
「お前の場合はすぐに別れるとか条件を付ける訳にいかへんやんけ!?」
家族の関係上があるから簡単には付き合えない。
付き合うつもりなら、それなりの覚悟が要る。
なんだ…。
そういう事か…。
なんとなく、わかったような気がする。
でも、やっぱりわからない部分も多い。
悠真が私を愛してる。
それでも悠真はそれを口にした事がない。
「なぁ、悠真?」
湯船の私の隣に入って来た悠真に聞いみる。
「ん?」
「悠真は彼氏か?」
「お前はどう思う?」
「悠真に聞いてんねん。」
「それを断言するのが俺は怖いと思う。」
悠真が寂しい顔をする。