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振り向けば…
第49章 ほどほどに…



私の心配を他所にフライドチキン屋を出た悠真が目を輝かせる。


「来夢さん…。」

「どないした?」

「赤い彗星や…、しかもカフェまである。」


悠真が好きなマニアなカフェが見えている。

私の手を掴んで悠真がそのカフェの前に立つ2体のロボットのオブジェのところまで引き摺って行く。


「やっぱ、このくらいの迫力あるジオラマを家に置きたいよな?」


完全にガキんちょな顔をした悠真が私に聞いて来る。


「部屋に物を置くのは嫌なんやろ?」

「赤い彗星は別やろ。」

「そもそも軽く3mを超えた物はジオラマとは言わないから…。」

「とりあえずカフェでなんか食おうぜ。」

「フライドチキンで胸焼けしとる!」

「えー?ほなら買い物して後でもう1回来るぞ。」


赤い彗星にヤキモチを妬くべきかと考える。

そこからは悠真がマニアな話を展開する。


「ただの量産型とは違うんやぞ!?3倍スペックの赤い彗星なんやぞ!?その男のロマンというやつが来夢にはわからんか?」

「赤く塗装してるだけで実は中のスペックは量産型と全く同じ…、だから量産型を赤く塗ったら3倍のスペックになるって少佐が勘違いしてるってコメディーネタがあるやん。」

「お前…、少佐を馬鹿にしてる?」

「いや、悠真を馬鹿にしてます。」

「酷っ!」


ふざけながら家具屋へと向かう。

輸入家具を取り扱うお店…。

キングサイズのダブルベッドでないと悠真の足がベッドからはみ出すと悠真が嘆く。


「日本人専用の規格サイズってやつを日本はそろそろ止めるべき時代や。」


悠真がブツブツとボヤく。

洋服も靴もほとんどが海外製品になる悠真。


「無闇にデカくなるからやろ?」

「そりゃ、来夢はええよな?小学生用からサイズがあるんやから。」

「やかましい!」


こういう時は容赦なく悠真を蹴飛ばしましょう。


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