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振り向けば…
第50章 寝るな…
「そういうの止めてくれ…。」
悠真が寂しく笑う。
「何が?」
「1人で考え込むのを…。お前、そういう時ってボーッとしてて全く表情がわからんねん。」
「そうなんか?」
「大学ん時にラブホにしか行かんかった奴の気持ちがわかるわ。」
「なんで?」
「不安やからやろ?悪気はなかったと思う。けど溝口先輩も拓也さんも同じ不安を来夢に感じてたはずや。一緒に居っても相手の顔すら見ずにボーッと何かを考える来夢に不安になる。」
「そんなにボーッとなんかしてないわ。」
悠真の言う通りかもしれない。
ボーッと考える私は悠真の事を考えてるかもしれないと歴代彼氏に不安を与えて来た。
「俺だけ見てろや。」
「充分に見てるわ。」
それでも最近の私がすぐに携帯を弄るのが気になると悠真が言う。
「何をやってんねん?」
「小説書いてる。」
「どんな?」
「官能サイト…。」
悠真が目を見開いて固まった。
「ちゃんと運転してや!」
「しとるわ!つか…、官能ってなんやねん!?」
「SEXについて書いてる。」
「アホか…、お前…。」
変なサイトなら今すぐに止めろと悠真が叫ぶ。
「別に変ちゃうで…、普通の小説を書いてみよう的なサイトと変わらんわ。」
「そもそも官能って一番難しい分野やぞ?」
「そうなん?」
「ただ、エロい事を書くだけならエロ本の方がよほど上をいくからな。官能は人の気持ちまでエロいと感じさせるだけの文章力と表現力が必要や。」
「私じゃ無理ってか?」
「所詮は無料やろ?趣味として好きなように書けや。書籍化とか甘い事は考えるな。」
「仕事は建築しかする気ないもん。」
悠真がゲラゲラと笑う。