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振り向けば…
第50章 寝るな…
悠真はプロのクリエイターとして、とんでもなく稼いでるから趣味程度の私が書くものは子供の落書きだと馬鹿にする。
「プロのクリエイターとしてのアドバイスは?」
「必ず作品は完成させる。未熟な作品であっても未完成を晒すのは恥やと思え。」
「未完成はあかんの?」
「未熟でも完成さえさせれば次がある。未完成はそもそも作品として扱われない。」
なるほど…。
ご尤もなご意見です。
「後は?」
「だから…、好きなように書けって…。人の評価とか意見とか気になって当たり前やけど、書くのはあくまでもお前の作品であって、周りの意見に合わせて書いた物は、それはもうお前の作品じゃない。」
「悠真は周りの評価は気にならんの?」
「ならん。てか、評価されてもわからん。」
「わからんって…。」
「俺は俺が思う世界を作り出す。それを欲しい言う奴が俺に金を支払う。気に入らんねやったら誰も俺に仕事の依頼をしなくなる。それだけの事や。」
「仕事が来なくなる不安は?」
「ない。仕事が来なくなれば、仕事のやり方を考え直すか他の仕事を考える。俺には普通の奴よりも考える時間だけはたっぷりとある。」
冷静…。
いや、冷酷で冷淡?
周りの言葉に動かされない。
人の感情に振り回されない悠真だからプロとして徹底が出来るのかもしれない。
ならば無理をして悠真に感情を理解させるべきじゃないとか思う。
そのままの悠真を受け入れる。
他人を全く受け入れない悠真。
私ですら簡単に突き放せる人。
私にはその冷たさを受け入れる覚悟も必要なんだ。
色々な覚悟にプレッシャーを感じる。
「着いたぞ。」
悠真がまた私の頭を撫でて私の意識を悠真に向けさせると車は目的地であるサファリパークの駐車場に入るところだった。