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振り向けば…
第6章 俺だけ見てろ…



日下先輩と明日香先輩が悩む。


「来夢には来夢に釣り合う身長の男子の方がやりやすいかな?」


悠真と私の身長差は既に30cm…。

私と10cmくらいしか背丈が変わらない男子と試しに踊ってみる。


「やりやすい?」

「はい。」


周りが見えるというだけで私の踊りが悠真の時よりもスムーズになる。


「しばらくはそれで練習して、慣れたらもう一度悠真君とやってみて、やっぱり無理だったら来夢のやりやすい方を選ぶしかないよね。」


明日香先輩が私に気を使ってくれる。

それでも私の中に冷めた気持ちしか浮かばない。

たかが体育祭の応援団…。

必死になる事なの?

私の悪い癖…。

練習に疲れてクタクタのまま自転車を走らせて家に向かうと悠真が私を追い越した。


「悠真…。」


そう声を掛けようとして止めた。

悠真の自転車の後ろに女の子が乗ってる。

他所の学校の制服。

悠真の練習が終わるのを待ってたのか?

短い丈のスカート。

ピンクのYシャツ。

うちの学校は白が指定だからピンクとかは私立の学校の子だとわかる。

茶髪に巻き毛の女の子…。

真っ黒でストレートの髪の地味な私とは違う。

悠真の自転車は2人乗りなのにどんどんと私から離れて行く。

悠真の彼女?

溝口先輩に会いたいとか思うた。

家に帰ってからもぼんやりとしてまう。

日下先輩の衣装を縫わなくちゃ。

そう思うても作業が進まない。

晩ご飯を食べる気にもならない。

あの子…、誰だろう?

悠真と居た女の子が気にかかる。

グダグダするのは性に合わない私だから…。

悠真に聞いちゃえばええじゃん。


「彼女?どんな子?可愛い?やったね!」


って軽く言うて聞いちゃえばええだけの事じゃん。


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