この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
振り向けば…
第50章 寝るな…
「相変わらず、来夢は自分で体感しないとダメなタイプだな。」
悠真が子供扱いで私の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
「あかんの?」
「それでええ…、俺も絶滅する瞬間を体感するまではわからんのと同じや。」
そない言うて悠真が私から目を逸らす。
遠い目で何かを見る悠真。
シャチのショーを観てる訳じゃない。
私の事すら見ていない。
私が考え事をするのが怖いと言う悠真がそうやって何も見てないと不安を感じる。
振り向けば…。
必ず居た人。
その存在感は大きく…。
その愛情は儚い…。
寄せては引く波のように…。
泡沫の夢という言葉、そのものの恋愛…。
僅かな愛情を確認するように私は悠真の手を握る。
我に返ったように悠真が私を見る。
「そろそろ旅館に向かうか?」
人目を憚る事なく悠真が私の頬にキスをして囁く。
きっとまたすぐにでもベッド入りかぁ…。
今は、それしかお互いの気持ちの確認方法がない。
だから私は模索する。
お互いの持つ愛情を身体以外で確かめ合う方法はないのかと…。
悠真が運転する車の中で結局は私もぼんやりと考え事をする事になり、悠真とは近付いては離れるを繰り返す恋愛はまだ続く感じがした。
悠真が選ぶ旅館はまた随分と豪華だと思う。
「贅沢者め…。」
今回は部屋に内風呂露天風呂の温泉付き…。
「お前…、大浴場に入れんの?」
悠真がニヤニヤとして聞いて来る。
ちくしょー…。
パイパンにされたまんこじゃ普通の温泉に入れなくなった我が身を嘆く。
「悠真のせいやろ!」
その広い背中に飛び蹴りを入れてやる。
「女は可愛さ優先やぞ。」
私が女を捨てる事を嫌がる。
ガテン系だからか、単なる悠真の好みだからか…。
毎回、必ずそこにこだわる悠真が居る。