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振り向けば…
第50章 寝るな…



どうする事も出来ない自分にモヤモヤを感じる。

もはや私の悪癖…。

誰かを助けたい。

誰かの役に立てるようになりたい。

なのに自分の好きな人すら救えない。

私はチビの役立たず。


「寝るか?」


夕食の後で部屋に敷かれたお布団に悠真が私を引き寄せる。


「明日は那智まで行くから…。」

「わかっとる。何もせん。」


私の頭を撫でて私を寝かしつけるだけの悠真。


「悠真は…、したくない?」

「来夢がして欲しいのなら喜んで…。」


すぐに悠真の手が私の腰を撫でて来る。


「そうじゃなくて…。」

「なあ、来夢。考え過ぎんな。」

「でも…。」

「俺はこういう人間や。オカンですら理解が出来ん言うて呆れてる。お前が無理する必要はない。」

「でも、悠真と居たいよ。」

「居てやるから…。来夢が望むなら、なんぼでも一緒に居たるし抱いたる。けど、俺にあれこれを期待するのだけは止めてくれ。」


悠真の言う通りだと思う。

悠真が優しくて激甘で普通以上に至れり尽くせりだから、それに慣れた私は我儘になって悠真に何かを期待してまう。

もっと恋人らしく。

もっと幸せな関係に…。

その期待に全ては応えられないと悟る悠真が何度も私に釘を刺す。


「ごめんね。」

「もう寝ろ…。」


私があれこれと馬鹿な事を考え込む前に悠真が私を寝かしつける。

疲れてた私は簡単に夢の中…。

寒さで目が覚めた。

また悠真が居ないと思う。

辺りはまだ真っ暗…。


「悠真…。」


身体を起こして辺りを見渡せば窓際のソファーでノートパソコンを開く悠真が見える。


「悠真…。」

「また起きたんか?」


苦笑いをする悠真が居る。

私だけは寝かせたい悠真と悠真を少しでも寝かせたい私が睨み合う。


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