この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
振り向けば…
第51章 有り得ない…
「構へん、構へん、ちょっとした来夢ちゃんへのお詫びの気持ちやし、お金払ったんは邦弘さんやから気にせんでええねんで…。」
うちのお父さん並に豪快なおばちゃんがゲラゲラと笑いながら私に説明する。
いや…、おばちゃん…。
それはそれでもっとあかんやろ?
私が次に藤井さんに会う時に困るやん。
アタフタとする私におばちゃんが少し照れたような困った顔を向けて来る。
「邦弘さんにも怒られたわ。私が悠真に過保護過ぎるってな。来夢ちゃんは当たり前に娘やと思うてたし悠真と来夢ちゃんがどんな風に一緒に居るのかとか全く考えた事もなかってん。」
おばちゃんがゆっくりと私に頭を下げて謝る。
「ごめんな。萌奈ちゃんには別に変な意味で接してたつもりもないねん。ただ他人を受け入れへん悠真やから従業員って肩書きでも他人を受け入れる事に慣れてくれたらとか考えてて…。」
おばちゃんの望みは藤井さんを悠真が受け入れる事なんだと感じる。
「萌奈ちゃんはお母さんが居らん子やから私をお母さんみたいや言うてくれたし、ついつい可愛がってもうたけど、来夢ちゃんを蔑ろにするとか、そんなつもりはなかってん。」
私は龍平おじさんの親友の子だから…。
悠真とそういう関係でなくともおばちゃんの中では私は当たり前に娘だったとおばちゃんが言う。
「邦弘さんがな、私にとって来夢ちゃんが娘なら自分にも娘や言うて、その時計を買うてくれた。」
おばちゃんが嬉しそうに笑う。
藤井さんの気持ちがよほどおばちゃんには嬉しかったのだとわかる。
「藤井さんにありがとうって言うといてね。」
私が悠真と一緒に居ると決めた以上はおばちゃんと藤井さんは私の新しい両親になる。