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振り向けば…
第51章 有り得ない…
私が藤井さんを家族として受け入れる事が悠真が藤井さんを受け入れる一番の近道だと思う。
「そんで…、来夢ちゃんは悠真なんかでええんか?」
おばちゃんが話の核心に迫る。
「えーっと…。」
改めて聞かれると照れくさい。
「大ちゃんは知ってるんか?」
目を細めておばちゃんが私を見る。
「お父さんには…。」
まだ知られたくない。
私に過保護なお父さん。
悠真との関係を知ればブルトーザーのように押しの一手で話を進めようとするに決まってる。
「気持ちはわかるけど、私みたいに親不孝な事はしたらあかんよ。ましてや大ちゃんは私と悠真には恩人って存在なんやからな?」
そこは、さすがにおばちゃんも母親の立場として私を叱って来る。
「今はまだ…、始まったばかりやから…。」
もごもごと子供のように言い訳しか出来ない。
おばちゃんには悠真も私もやっと重い腰を上げたばかりの状況で、この関係がいつ崩れてもおかしくはないのだという説明だけをする。
「そんなに頼りないんか!?」
おばちゃんが仕事部屋を睨みつける。
今すぐにでも悠真を蹴飛ばしてやろうという勢いのおばちゃんを止める。
「悠真かて悠真なりに頑張ってるよ。悠真は私に約束した事はゆっくりとでも必ず守ってくれてる。だから私は悠真を信じとる。」
浮気はしない。
私しか見ない。
そう決めた悠真が今更、私に他の男のところに行けとか情けない事はもう言わないはずだ。
ただ、このまま10年も20年もダラダラと一緒に居る可能性は否定しない。
「そんなんでええんか?」
おばちゃんが怖い顔で確認をする。
良くはないかもしれない。
それでも1歩づつしか歩み寄れない私と悠真だから他の選択肢はないと話すだけだ。