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振り向けば…
第51章 有り得ない…



「ほんま情けない息子やわ。龍平に似てんのは見た目だけやな。」


おばちゃんがひたすら口を尖らせる。


「あー…、てか、おばちゃんは藤井さんとは?」


話を誤魔化さないとおばちゃんから悠真が可哀想な扱いを受け続ける。


「その事なんやけどな。来夢ちゃんに大事な話があるから聞いて欲しいんよ。」

「へ?」


大事な話とは悠真の問題じゃなかったのか!?

ここからがおばちゃんの話の本題だ。


「邦弘さんと私があのアパートで一緒に暮らすつもりやねん。」


おばちゃんの言葉にアタフタする。


「あのアパートに!?」


幾ら新築に建て替えたとはいえ、安物のアパートには違いない。

藤井さんは芦屋という豪華な街に豪華な一軒家をかまえてる社長様だ。


「芦屋なんかに住みたくないもん。大ちゃんところの仕事も辞めるつもりないし。」

「だからって、藤井さんが神戸の自分の会社にあのアパートから通うの?」

「あの人、社長やから重役出勤出来るやん。その代わりなんやけどな。あのアパートの管理委託を邦弘さんの会社に任せてくれへんか?」


おばちゃんの大事な話は藤井さんが経営する不動産の話だった。

管理委託…。

今までは、おじいちゃんが管理の全てを担ってた。

この街の不動産屋にはあくまでも賃貸の媒介依頼しかしてない。

その管理委託を藤井さんの会社がやりたいという。

管理委託をすればアパートの清掃や退去時のリフォームなどを藤井さんの会社で管理して貰う事になる。

藤井さんからのお土産である高級時計を眺めながら考える。

さすが社長様…。

NOとは私に言わさない手際でございます。

私が建築で仕事をしている以上はあのアパートの管理は誰かに依頼するしかないのもわかってる。


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