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振り向けば…
第51章 有り得ない…
「ちゃんと寝かせてや?」
「任せとけ。」
ニヤリと悠真が笑う。
この笑顔を絶対に信用するべきじゃないと私は学ぶ事になる。
ひたすら激甘の悠真君…。
買い物に付き合ってくれて荷物も全部持ってくれる。
おばちゃんといえば相変わらずで
「来夢ちゃんが今夜のご飯の用意してくれるんなら安心やわ。」
と言うて早々とビールの缶を開けてる。
「何したらええ?」
台所じゃ悠真が私にべったりと付き添い私のお手伝いに奮闘する。
サラダ、エビフライ、キノコのグラタン…。
私が作れるのは家庭料理…。
「やばい…、グラタン…、久しぶり。」
悠真はそんな料理でもご機嫌で手伝ってくれる。
「おかわり…。」
グラタンを悠真が私に強請る。
「好きやな…、グラタン。」
「ハンバーグの次やけどな。」
私と居る事で悠真がご機嫌になるから、おばちゃんまでもがご機嫌だ。
「オカン、俺の土産は?」
「キムチと韓国海苔買うて来たで?」
「鶴橋で買える物は土産とは言わん!」
「ほな、Kポップアイドルのブロマイドは?なんかくじ引きで貰うたんや。」
「舐めとんのか?クソババア…。」
「やかましいわ!馬鹿息子。」
いつもの親子喧嘩をゲラゲラと笑う私が居る。
「もうええわ、来夢と旅行に行ってもオカンにはなんも買うてやらへん。」
悠真が子供の表情でおばちゃんに口を尖らせる。
だから、おばちゃんが悠真に過保護になるのだろう。
おばちゃんにはいつまでも悠真が小さな子供に見えてるのだと思う。
悠真が私と旅行に行って、おばちゃんにお土産を買わなかった事は一度もない。
和歌山でもミカンのスイーツや梅干し、ラーメンやらカレーやらをおばちゃんが食べるからと言うて山のように買うた悠真。