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振り向けば…
第6章 俺だけ見てろ…
気不味いまま、内海さんと悠真と3人で床に座る。
「私…、帰ろうか?」
内海さんが悠真に聞く。
「気にすんな。こいつ、今は彼氏持ちや。」
「森本さんに彼氏?」
「水泳部のイケメン先輩。笑うやろ?」
そんな話を悠真が笑って内海さんに言う。
「もしかして内海さんと悠真は付き合ってるの?」
仕返しとばかりに聞いてやる。
「あー…、まぁな。」
曖昧な返事を悠真がして内海さんが俯いた。
「なら、お邪魔やから帰るわ。」
「私も今日は帰る。また連絡するから…。」
内海さんと2人で悠真の家を出ようとした。
「送ったるから…。」
悠真の言葉は内海さんに向けられてた。
私の家まで歩いて5分。
それでも私1人では帰らせないと言う悠真は必ず私を送ってくれたのに、今は内海さんが優先なんだと理解をした。
夏休み…。
悠真が居ない夏休み…。
とてつもなく長くて疲れる夏休みだった。
溝口先輩がプールに行こうと誘ってくれる。
だけど、こんちゃん先輩や日下先輩も必ず一緒。
だから私だけが緊張して疲れちゃう。
カッコいい彼氏。
優しい彼氏。
誰もが羨むのに私は疲れしか感じない。
感じるのは小さな私が背伸びをしてる感覚だけ…。
夏休みが終わると明日香先輩が
「今日は悠真と合わせてみてよ。」
と言い出した。
振り付けは全部覚えた。
溝口先輩から曲にだけ合わせれば周りとは勝手に合うと教わった。
なのに悠真とだとぎくしゃくする。
「やっぱり悠真とはやりにくい?」
明日香先輩や日下先輩が心配そうに私を見る。
不意に私の顔が持ち上げられる。
目の前には悠真の顔しか見えなくなる。