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振り向けば…
第52章 無事だよ…
「んー?」
「悠真君と…。」
「うん…。」
「そうか…、まぁ、頑張りなさい。」
何を頑張るのかはわからない。
ただ、昔から私にあれこれと言うと私がキレるせいかお母さんは私に何も言わない人になってた。
しばらくしてお父さんと悠真が帰って来る。
お父さんはご機嫌で、悠真はひたすらため息をつく。
「来夢!今は悠真と付き合ってるんやてな?」
露骨に聞くお父さんにアタフタする。
「まぁ…、そうや。」
「ケジメだけは付けろよ。」
私に激甘のはずのお父さんの顔が変わる。
やばいくらいに厳つい顔…。
目を細めて私を睨む。
「だから…、ケジメとして私はちゃんとこの家に帰って来てます。」
「それだけとちゃうわ。悠真にも言うたけど、孕ませて傷物にしたら現場に埋まる覚悟をしろや。」
「お父さんっ!?」
「言うとくが、来夢、お前も仲良く埋めるからな。」
「アホ言わんといて!?」
「アホちゃうし。龍平が奈美にして来たような事を俺は父親として悠真には認めんからな。」
お父さんの言葉にため息が出た。
お父さんには絶対的に従順な悠真の事だから下手をすれば結婚まで私に指1本触れなくなる。
やっぱりお父さんに言うべきじゃなかった。
後悔とは先に立たず…。
後何回、その経験するねん…。
後はただ、悠真と2人でため息を吐く。
お母さんが悠真の肩を叩く。
「そういう事やから、来夢の面倒を頼むね。」
そない言うて新しい我が家の鍵を悠真に差し出した。
「お母さん…。」
「来夢とこの先がどうなるかは知らんけど、悠真君はうちの家族やって事を2人とも忘れなや。」
私と悠真の不安定をお母さんだけでも理解してくれてると感じて嬉しかった。