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振り向けば…
第52章 無事だよ…
何がしたい?
大概、悠真の至れり尽くせりでやり尽くしてる。
「この季節なら…、京都の床か?」
「去年の店は飯がイマイチやったな。」
「一昨年の店は料理は良かったけど、暑すぎたわ。」
「なら、今年はもっと上流の方にするか?」
数年前から毎年のように川床だけは悠真と行く。
いつもなら祇園や先斗町辺りのお店を予約する。
今年は貴船の方で予約をすると悠真が言う。
日付けは七夕…。
毎週のように私に会うのに年に一度の恋人の逢瀬の日を悠真が選ぶ。
「なんで七夕?」
「俺が選ぶデートはムードがないっていつも来夢が俺に文句言うやんけ。」
七夕にしたからというて悠真にムードが出るとは思わないけど、私の為だと言うのであれば私はそれを甘んじて受け入れる。
「今年は浴衣を買うたる。昼から買いに行こう。」
悠真が笑う。
去年、一度くらいは浴衣で床に来たいと言うた私の言葉を悠真が覚えてる。
こういう人だから一緒に居たいと思う。
「ゆう…。」
「ん?」
「キス…。」
「ん。」
望めば何度でもキスをくれる。
恥ずかしいや照れくさいが全くない人。
私が欲しいと言うてやれば良いだけの人。
その週末は平和でいつも通りで幸せなだけの週末だったのに…。
翌日、私が会社に出勤すると、それは起きた。
いつもよりも15分早く家を出た。
朝礼前に見ておきたい図面があったから…。
朝礼は8時30分…。
8時15分までに出勤すれば良い会社。
9時には業務開始…。
やけに静かでお天気の良い日だった。
7時50分には会社に着いて駐車場に車を停める。
この時間に来てるのは社長さんと宮崎さんくらいで専務はいつもギリギリの人。