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振り向けば…
第52章 無事だよ…
お次は事務室。
ここは正社員の2人しか朝は来てない。
社長さんと長い付き合いの事務のおばさん。
朝は8時ぴったりにやって来て夕方の5時ぴったりには帰る人達…。
パートのおばさん達は確か9時出勤?
おばさん達は私の顔を見るなり
「ねぇ、帰ってもええかな?」
と聞いて来る。
この部屋にはテレビがある。
おばさん2人はそのテレビを必死になって見てる状況だった。
「社長さんが会議室に集まるように言うてます。緊急朝礼です。」
「朝礼は工事部だけやろ?」
「今、出勤してる社員全員って言うてます。」
「えーっ!?今はとにかく帰りたいわ。」
誰だってそうだよ!
おばさんに叫びそうになった。
あなた達は阪神大震災を乗り切った人達でしょ?
おばさん達に文句を言うても始まらないからと私は2階へと階段を駆け登る。
ブツブツと文句を言うおばさん達が私の後ろからついて来る。
「とにかくお前もさっさと出勤しろ!」
会議室に入ると社長さんが携帯に向かって怒鳴る声がする。
息子である専務さんを呼び出してる。
「まさか帰れないの?」
「えー?通常勤務?」
「工事部はともかく営業と事務は今日は会社に居ても無駄じゃないの?」
おばさん達がひそひそとだが社長さんに聞こえるように文句を言う。
「悪いが通常勤務をして貰う。まずは社内のガスの元栓を閉めて、工事部は現場の安全確認を優先。営業部は工事部のバックアップをしてくれ。」
携帯を切った社長さんがテキパキと今集まってる社員全員に指示を出す。
「絶対に1人では行動するな。後30分もすれば電話回線がパンクするから今から10分以内に家族に連絡をしたい人は連絡を入れなさい。後は業務に支障が出ないかを確認次第、随時連絡を入れるように…。」
社長さんがかなりの早口で一方的にまくし立てるだけの朝礼だった。