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振り向けば…
第6章 俺だけ見てろ…
先輩にドキドキとするだけの子供の恋。
逆にイライラとする悠真からは目を逸らしたままで小さなヤキモチに胸が痛む。
そんな不安定な気持ちを抱えた体育祭。
昼休みに先輩達とお弁当を食べる。
「来夢って料理が美味いんだ。」
「前はお母さんが仕事してて…、私が作る事が多かったからです。」
溝口先輩がどのくらい食べるかわからなくてたくさん作って来た。
2人じゃ余るからと日下先輩やこんちゃん先輩達も私のお弁当を食べてくれる。
「俺の彼女。ええ子やろ?」
溝口先輩が日下先輩に自慢するように言う。
そういう時は何故か幸芽先輩に睨まれる私。
きっと幸芽先輩は溝口先輩が好きなんだと思う。
「お前には勿体ないから俺が貰ってやろうか?」
日下先輩がわざと溝口先輩を挑発する。
「絶対に譲らない。」
溝口先輩が私の肩を引き寄せる。
真っ赤になって俯くしか出来なかった。
幸せなはずなのに…。
ドキドキばかりして自分じゃない感覚しか感じない。
昼休みが終わると応援合戦が始まった。
青い詰襟に白いスカーフを付けた兵隊風のこんちゃん先輩が踊ってる。
ロボットみたいな動きの後はバク転をしたりしてグランド中から拍手が沸き起こる。
「こんちゃんは派手やな。」
溝口先輩が笑う。
オレンジは和服…。
着流しの男子の中で団長を務める溝口先輩だけが黒い袴を履いてた。
「こんちゃんにだけは負けへんから見とけよ。」
ニヤリと笑って溝口先輩が私に確認をする。
小さく頷くと先輩がグランドに向かう。
お得意のパラパラ…。
団長のソロでは凄いアクロバットダンスを見せる。