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振り向けば…
第53章 この家族…
我が家で発生した唯一の被害…。
一体、冷蔵庫の中で何が起きたのかと聞きたくなる。
卵は全部、無事なのに…。
私の買うたプリンだけがプリンじゃないものになってもうてる。
カスタード部分にカラメルソースが見事に混ざり合いマーブル模様を描くプリン。
こんなプリンは確かに見た事がない。
「なめらかがより一層なめらかになったな。」
真顔でそう言う悠真を蹴飛ばした。
「お風呂して来る。」
フンッと悠真から顔を背けてお風呂へと向かう。
さすがに両親が居る家じゃ悠真が私にベタベタとして来る事はない。
ただ嬉しかった。
悠真が居る家に帰れた安心感に全身の力が抜けた。
お風呂から出ると朝が早いお父さん達はもう居ない。
「来夢、話がある。」
悠真が私の部屋に入るなり、そない言う。
「ごめん、明日が早いんや。」
「そうか。」
悠真には悪いとは思うけどベッドに入るや否や私は眠りに落ちる。
翌朝は5時半起き…。
昨日の状況にまた陥るのが怖くて今日はお弁当と水筒の用意をする。
「来夢…。」
何かを言いたそうな悠真。
聞いてやる余裕がない私。
「行って来ます。」
7時前には家を出た。
またしても渋滞に巻き込まれたら会社に何時に出勤する事になるかわからない。
幸い、まだこの時間なら渋滞がない。
普通の通勤時間内に会社に着く事が出来る幸せを感じてホッとする。
会社に入り、工事部へと向かうと床には芋虫のように毛布に包まれた宮崎さんを発見する。
やっぱり徹夜だったんだ。
宮崎さんを起こさないように出来るだけ静かにしたつもりだったけど、報告書を書く為に起動したパソコンの音で宮崎さんが目を覚ます。