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振り向けば…
第53章 この家族…
「森本さん…?」
宮崎さんが私を見て目を丸くする。
「専務さんは?」
「社長室のソファーで寝とるわ。」
「そこに、おにぎりと卵焼きとお味噌汁がありますから専務さんと朝食を食べて顔を洗って下さい。」
「ほんまか!?おおきにな。」
宮崎さんが慌てるようにして社長室でまだ寝てる専務さんを起こしに行く。
この程度しかしてあげられない。
それでも、やらないよりもやれる人間になりたいといつも願う。
宮崎さんと専務さんが2人で朝食を食べる姿を見ながら私は昨日の分の報告書を仕上げてまう。
「あんな、森本さん…。」
気不味い顔を専務さんがする。
「わかってます。問い合わせがあった外構について私が安全確認をする事になるんですよね。」
専務さんの言葉がわかるように私は答えてた。
うちの会社で受けた外構工事で今回、会社に問い合わせが来た分の安全確認をする。
それが、この会社で出来るのは私と社長さんだけという特別な状況だ。
「なら…、森本さんの現場は?」
「岩谷さんと宮崎さんで手分けして下さい。」
「任せとけ。」
そんな話をする間に他の社員さん達が出勤する。
まだ営業前の会社なのに電話が鳴り響く。
「事務の対応も追い付いてないんや。」
専務さんが顔を歪める。
現段階で問い合わせがあった現場に私は順番に駆け付けるしか出来ない。
社長さんが今週は朝礼をしないと決めた。
宮崎さん達と簡単に打ち合わせをして私はすぐに会社を出る。
まずは1軒目の家…。
緊張をしてその家の呼び鈴を鳴らす。
『はい?』
インターホン越しに若い女性の声がする。
「外構の安全確認に来ました。」
私は自分の首から下げた身分証明書を掲げながら説明をする。