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振り向けば…
第53章 この家族…
とあるハウスメーカーからの依頼でうちの会社が施工した物件。
築1年のまだ新しい一軒家。
中から若い女性が出て来ると私は現場の確認をしたいと説明をする。
「これって、メーカー保証とかは?」
家主が気になるのはその部分…。
「残念ですが、保証されてるのは家屋だけです。」
私は無慈悲な答えを返す事になる。
外構は道路に面する為に保証を含まない。
「保険は?」
「多分、どこの保険会社も家屋だけです。外構部分はオプション扱いになりますから…。」
「そんな…。」
修理が発生した場合は自己負担だと理解をした女性は愕然とした顔を私に向ける。
「まずは確認をしてみないと…。」
修理の必要があるかの確認の為に私は来てる。
あれば、うちの会社と元請けだったハウスメーカーに報告書を出すだけだ。
家の周りから確認をしてから家の内側も確認をする。
約30分程度の確認。
「外構自体には問題はありません。ひび割れもなく安全性だけを言うなら今すぐに崩れたりとかはないはずです。」
私の言葉にホッとする表情を女性が浮かべる。
「ただし、余震がまだ続いてます。それに、また大きな地震が来れば崩れる可能性は否定出来ません。」
更なる私の説明に女性がまたガックリとした表情を浮かべる。
別に脅してる訳じゃない。
事実として自然に勝つ力がないのだと言うしかない。
後は耐震工事になるが、ここの外構は既に出来る耐震対策を施してある。
それだけが慰めだと思う。
後は今回の地震で多少剥げ落ちた塗装の問題だけ…。
「どのくらいの費用がかかりますか?」
「塗装だけなので、大した額にはならないと思います。見積もりはご希望ですか?」
見積もりの希望の確認も私の仕事。
そこから先はハウスメーカーがする話になる。