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振り向けば…
第54章 七夕だから…



すぐ様にお父さんに連絡をする。


「お父さん、頼みがあんねん。」


全ての事情をお父さんに説明する。

そのお父さんからの返事は


『やるなら、今からやらんと無理や。』


という答え。


「今からって…。」

『積むもん積むだけの作業をするいう事や。今夜だけでどんだけ増水するかわからん。明日の朝から積み込みなんかしてたら間に合わんわ。』

「なら、ダンプを私の現場に持って来てくれる?」

『準備して待っとけ。』


この雨続きでお父さんは自分の仕事はしてない。

龍平おじさんの現場での事故を知ってるお父さんは決して仕事での無茶はしない。

そんなお父さんに無茶を私は頼んでる。


「帰ります。」


宮崎さん達に嘘を付いて会社を出た。

そのまま私の現場に戻り私はユンボの準備をする。

本当ならこの時間に作業をする事自体が違反になる。

しかも残土を勝手に他所の現場に移動させるとか、全て手続き無しの違法行為に当たる。

わかってて私はそれをやる。

私の資格が剥奪されても浸水被害を食い止める為なら誰かがやらなければならない。

全ての責任は私が負えば良いだけの事。

私なら会社を辞める事になってもお父さんの会社に入ればええだけやん。

土砂降りの雨の中で重機の操作をしながらお父さんのダンプが到着するのを待つ。

お父さんのダンプが現場に乗り込んで来る。

ダンプから降りて来たお父さんが私を見てニヤリと笑うてくれる。


「監督様やとふんぞり返ってた割には腕は落ちとらんみたいやな。」


私の重機操作を褒めてる。


「お父さんの子やからな。」


大好きなお父さんに認めて欲しくて覚えただけの重機操作を私はお父さんに見せつける。


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