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振り向けば…
第54章 七夕だから…
約2時間の作業をしてからお父さんが帰る。
私と宮崎さんはまだ朝だというのに泥だらけのまま会社に出勤をする。
社長さんが呆れてた。
「今日は全ての現場作業を停止する。」
警報が雨だけでなく洪水や土砂災害にまで変化を遂げた以上は当たり前の事だ。
「だから、森本さんと宮崎はさっさとシャワーを浴びて着替えて来い。うちの主任作業員の2人が如何にも作業してましたって格好でウロウロされたら会社として迷惑や。」
社長さんが口を尖らせて私と宮崎さんを叱る。
私はともかく宮崎さんまで、この会社で失う訳にはいかない。
2人で慌てて更衣室に飛び込んでシャワーを浴びて予備の作業服に着替える事にした。
一応は男子と女子で別れる更衣室。
だけど女子更衣室のシャワーを使うのは私だけ。
私以外は事務のおばさんくらいしか更衣室のロッカーを使わない。
髪を手短にドライヤーで乾かして工事部に戻ろうとすると専務さんが私を事務室に呼ぶ。
「何かありましたか?」
「増水のニュースや。」
桂川の増水のニュースがテレビに映し出されてる。
「淀川は…?」
専務さんが私に聞く。
「多分、大丈夫です。」
淀川は桂川よりも河川幅が広がる。
増水の高さが桂川よりも低くなる。
だから宮崎さんは3tの土砂で簡易堤防の作れば浸水被害を回避出来ると判断した。
私は宮崎さんの判断を信じるだけだ。
「いつになったら収まんねん。この雨…。」
誰もが窓に降りしきる雨を睨み付ける。
「森本さん…、明日は?」
専務さんにそう聞かれた。
「仕事です…。」
明日は七夕…。
本来ならば休む予定が現場に残土を戻す作業が残ってるから休めない。