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振り向けば…
第55章 断る…
自宅で仕事をするから余裕がある悠真。
人を雇わないから仕事を選べる悠真。
本格的な仕事をすれば、悠真の食事や身の回りの事をする人間が必ず必要になる。
それを私が拒否した形になってる。
「やれる事はやるから…。」
「それでボロボロになったお前を俺に見ろってか?本末転倒やな。」
感情が薄く論理的な悠真はもう冷静に状況を見極めてるから私が不幸になる結果しか見えてない。
噛み合わないプロポーズ…。
ひたすら泣くだけの私に悠真が困った顔をする。
「ひとまず、風呂に入って来い。その間になんか出前でも頼んどいたる。」
私を突き放すような言い方で悠真が無理矢理に私をお風呂場へ押し込んだ。
熱いシャワーを浴びながら自分なりに考える。
悠真の望み通りに仕事を辞めるべき?
アパートの家主の収入だけでも私のお小遣い程度は不自由はしない。
退屈なら、お父さんの会社でたまに働けばええ?
そんな考えは私の心が全て拒否をするように胸が苦しくて痛くなる。
だから…。
萌奈さんみたいな人に悠真を取られても私は文句すら言えない女になるの?
シャワーが涙を洗い流すのに、私の涙はいつまでも止まらずに流れ落ちるだけだった。
身体がふやけそうなほどお風呂に居た。
悠真は何も言わない。
パジャマに着替えてから悠真が取ってくれた天丼を夕食に食べる。
もう夜の10時…。
食欲がなくて半分も食べられへん。
「ちゃんと食えや。」
「こんな時間に食欲なんかないわ。」
「それでも…。」
「それでも?」
「もう…、ええわ。俺は今から仕事するから来夢は先に寝てろや。」
冗談すら言わなくなった悠真を見るのが辛い。