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振り向けば…
第55章 断る…



せっかく新しく買うたベッドなのに…。

私は1人で寝る事になる。

いつもの習慣で携帯を見る。

私がお風呂に居た頃に着信があった。

宮崎さんから…。

慌てて宮崎さんに電話を折り返す。


「夜分にすみません、今着信に気付いて…。何かありましたか?」


宮崎に平謝りをしてまう。

もしも現場で事故が発生したという連絡だった場合は私はすぐにでも現場に駆け付ける必要がある立場なのに自分の個人的な事で携帯すら放置してた。


『構へん構へん…、森本さんからすれば、せっかくの休みやのに悪いなぁ。』


宮崎さんがのんびりと言う。

つまり事故などの緊急ではない。


「何かありましたか?」

『うん、森本さんが外構の安全確認をした顧客からちょっとしたクレームが来とるんや。』


宮崎さんの声のトーンが低くなる。

私が帰った後、ある顧客から会社に連絡が来た。

電話を掛けて来たのは例の崩れかけた外壁の家で暮らす老婆の娘。


『この雨で外壁が崩れたんや。それをうちの会社のせいやと言うとる。得に森本さんの説明が悪かったせいやと言うて譲らんのよ。』


宮崎さんの言葉に愕然とする。


「だって…。」


私の報告書ではあの外壁は早急にやり変える必要有りと記してある。

だから、うちの営業部から見積もりを取るようにと営業部にも手配をかけた。

その営業からの返事は


『やり変えの工事代金が高過ぎるから、他社の見積もりも取るとか言われました。』


というものだった。

それ以上はうちの会社としては口出しが出来ないからと放ったらかした形になってたはず…。


『まさか今回の雨程度で壁が崩れるとは思わなかったらしい。そこは森本さんの説明不足や言うて聞いてくれへんねん。』


宮崎さんがため息をつくのが聞こえる。


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