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振り向けば…
第55章 断る…
しかも、うちの会社の責任だから崩れた壁をどうにかしろと娘が因縁を付けたらしい。
『どないする?』
「明日、現場を見に行きます。」
『休みやろ?』
「構いません。多分…、あの人は宮崎さんだと対応が難しいと思いますから。」
多分、私の代わりに宮崎さんが行くつもりだった。
でも、あの娘なら宮崎さんの肩書きの確認をしてから信用が出来ないとか難癖を付けて来る。
『一応、俺も一緒に行くから。森本さんが1人で行ったら言うた言わんで何かとイチャモン付けて来るタイプやろ?社長からも録音しろ言われとるし。』
「宮崎さんも休みなのに…、すみません。」
『構へんて、若い女の子とデートや思うたら楽しいわ。あっ!?これまたセクハラか?』
「宮崎さんのセクハラはもう諦めてます。」
最後はいつもの宮崎節で私を笑わせようとする宮崎さんに感謝した。
宮崎さんの電話を切り、すぐに悠真が居る仕事部屋に向かう。
「まだ起きてたんか?」
目を細めてパソコンの画面を見る悠真が私を全く見ずにそう言うのが辛い。
「あんな…、悠真…。」
「んー?」
「明日…、仕事が入ってん。」
「ふーん…。」
ひたすら生返事で冷たい悠真に泣きたくなる。
「だから…、一緒に寝てよ…。」
僅かでも、傍に居て欲しかっただけだ。
悠真に愛されてると思いたいから。
眠らない悠真だけど私を寝かしつける悠真の温もりが欲しかっただけなのに…。
「断る…。」
そう冷たい返事が返って来ただけだった。
「なんで?」
「明日も仕事やろ?さっさと1人で寝ろ。」
「悠真…。」
「俺は来夢の都合のええ時だけの彼氏になるつもりはないからな。」
「悠真っ!?」
もう私が何を言うても無駄な悠真がそこに居た。