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振り向けば…
第55章 断る…
翌朝は悠真の朝ご飯の用意だけをして家を出た。
悠真が寝たかはわからない。
1晩中、悠真は仕事部屋に居た。
この後も私が用意をした朝ご飯を食べてくれるかもわからん男にため息が出る。
前に悠真を怒らせた時は私のご飯すら拒否をした。
徹底して人に冷たくなれる悠真が怖いと思う。
私が仕事を辞めない限り、この問題を繰り返す可能性を感じる結婚なんか不可能に思えてまう。
会社に向かい宮崎さんと合流した。
宮崎さんの車で外構壁が崩れたという現場に向かう。
「専務が電話を受けたんや。ほんまに最悪の施主やと嘆いてたわ。」
「前の時も最悪でしたか?」
阪神大震災の時に最悪の施主だったなら、社長さんが施主としては断りを入れてるはず…。
「前はご主人が施主やったらしい。今回はその奥さんと娘だけやけど、その娘がなぁ…。」
あまり大っぴらに施主の悪口を言う訳にいかない宮崎さんが口篭る。
社長さんの記憶が正しければご主人は他界して、娘さんは結婚をしてたはずだから出戻りの可能性があるという話を宮崎さんがする。
ご主人が居ないから女だけだと足元を見られない為に娘さんが必死なだけかもしれないと今回の件の穏便な話し合いを心掛けようと思う。
その考えは間違いだった。
「あなたのせいでうちは大変な状況になって迷惑してるのよ!」
私の顔を見るなり娘さんが叫び出す。
外構の壁が崩れ外から主屋が丸見えになってる。
最悪なのは崩れた壁が道路にまで散乱してる状況だ。
「さっさと片付けて、新しい壁にしてよ。」
娘さんがそう言うから宮崎さんが
「なら、うちの見積もり通りに施行させて貰ってええんですか?」
と確認する。