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振り向けば…
第55章 断る…
娘さんが支離滅裂な言葉を何故か宮崎さんに向かって叫び出す。
「ゆとり世代の新人が資格を持ってるってだけで偉そうにしてる会社ってどんな社員の教育をしてるの?」
宮崎さんの顔が歪む。
「うちは社員教育はしっかりとやってます。うちの森本は既に新人ではありませんし、そこいらのベテランよりも現場をわかってる社員です。」
宮崎さんの言葉は嬉しかった。
でも…。
「社員教育の話なんかどうでもいいです。さっさと決めましょう。私はこの外構の問題にずるずると時間を取られるほど暇じゃないんです。そちらが信用出来ない会社が撤去だけは責任を持つと言うてるんですから、それに同意だけして貰えませんか?」
私は冷めた声で話をまとめようとする。
「撤去後は2度と当社と関わらないと約束だけして貰えるなら今日の午後にでも撤去作業を済ませます。お時間は3時間もあれば終わりますよ?」
娘さんを冷ややかに嘲笑する笑みを浮かべてた。
「すみません、この先のお話しは私にさせて貰えませんか?」
家の奥から老婆が現れた。
「お母さんは黙ってて!」
「黙ってないよ。この家は私の物やからね。気に入らんねやったらアンタは出て行ってや。」
老婆が娘さんを叱り出す。
膨れっ面になる娘さんが家の奥に行き老婆が代わりに私と宮崎さんに話をする。
「すみません、娘が心配してるのはお金の問題なんです。主人が死んでから私も年金だけですし、あの子は働いてすらいませんから…。」
老婆がやっと本当の状況を話してくれる。
まずはお金がない。
保険はやはり家屋だけの保険だと確認をした。
なのに娘さんが見栄を張って、うちの会社の営業に耐震で丈夫な最新型の外構を注文したらしい。