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振り向けば…
第56章 仕事やから…



今まで私も悠真もお互いがぶつかるとすぐに逃げ出しては家族だからを言い訳にしては寄りを戻すを繰り返して来た関係だ。

本物の家族になるには悠真ともっとわかり合う関係にならなければ、きっと離婚は避けられない。


「とにかく、悠真と話し合うわ。」

「おう…、行って来いや。」


犬を追い払うようにシッシッとお父さんが私にぶら下げた手首を振る。

なんかムカついたからお父さんにアカンベーをしてから家を飛び出してた。

もう完全に夕方…。

私が仕事だった上にお父さんに結婚を断わられた悠真の精神状態が気になって仕方がない。

あいつ、一体何を考えてんのよ?

長い付き合いの中で悠真の思い付き行動は未だに理解が出来ない部分。

私の誕生日に突然雪山に連れてったり、クリスマスに私をシンデレラにしてみたり。

かと思えば平気で私以外の女と暮らしたり…。

悠真の突発的な行動を理解してやらなければ、お父さんが言う通りで離婚も突発的にやりかねない。

ひたすら悠真の家まで夢中で走り玄関に入るなり叫んでやる。


「悠真ー!」


悠真の家からは返事がない。

玄関には脱ぎっぱなしにされた悠真の靴があるから留守ではない。

廊下を進みながら部屋の扉を開けて行く。

寝室、仕事部屋…。

無人を確認すれば、後はリビングのみ。

灯りすら点けない悠真。

相当凹んでるのだと感じる。

リビングの扉を開きもう一度呼ぶ。


「悠真ー!」

「んー…。」


リビングのソファーで寝そべったままの悠真が生返事を返して来る。

段々と悠真の凹みにも慣れて来た。

夕日が差し込むリビングで1人でぼんやりとしながら自分の何が悪かったのかと考え込むのが悠真の落ち込み方だ。


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