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振り向けば…
第56章 仕事やから…
その悠真のお腹の上に跨いで座ってやる。
「何思うて勝手にお父さんのとこへ行ったんよ?」
別に責めてるつもりはない。
だけど悠真は私から目を逸らす。
私に怒られると勝手に思い込んでる時の悠真の癖。
大丈夫…、少しづつであっても私は悠真を理解する事が出来ている。
「言うたやろ?俺が来夢を欲しかったからや…。」
いじけた子供が口を尖らせて呟く。
「私は仕事を辞めへんのにか?」
「それも俺が我慢したらええんやろ?来夢が洗い物出来へんなら食洗機を買う。来夢が掃除とか洗濯が出来へんねやったら俺がやる。来夢が望む事は俺に出来る範囲で全て聞いてやる約束や。」
私の顔を全く見ずに拗ねたように悠真が言う。
約束だから…。
男だから…。
悠真は必ずそこにこだわる人だ。
「お馬鹿やな。」
「馬鹿やからオッチャンが認めてくれへんのか?」
「そうや、私も含めて馬鹿やからや。」
私がクスクスと笑えば怯えた顔をしながらでも悠真が私を真っ直ぐに見る。
私の気持ちを少しでも理解しようと悠真が悠真なりに努力をしてる。
だけど、それは悠真の悪い癖であり私の悪い癖でもあると私は思う。
「この先はな、2人で決めて2人で考えて2人で進まなあかんねん。」
まだ状況がわからない悠真に説明をしてやる。
「だから俺は来夢の仕事を認めてるやんけ。」
悠真がまた口を尖らせる。
その悠真の顔を私が撫でてやる。
悠真が私を確認するやり方で私は悠真を確認する。
2人でやらなければお父さんは認めてはくれないと思うから2人で理解をして2人でお父さんを説得しなければならない。
私も悠真もお互いを理解出来ずに1人で考えて自己完結してまう悪い癖がある。