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振り向けば…
第56章 仕事やから…
どう説明をすればええの?
飾られた言葉じゃ悠真は理解をしてくれない。
食事を済ませてから悠真の家に帰る。
必死に考える私は無言になり、そのまま悠真にされるがままでお風呂に入る事となる。
「頼むから…。」
考え込む私の髪を洗いながら悠真がため息を吐く。
ボーッとする私が嫌いな悠真。
「だって…。」
「あくまでも仮定の話やろ?現実になってみなわからん話やんけ。」
「それは違うよ。」
「何がやねん?」
私が苛立つように悠真も苛立ちを見せて来る。
「そりゃ、現実に起こらないとわからん部分は山ほどあるとは思うよ。けど、もし悠真を失くしたら私は他の男の人とは2度と恋愛なんか出来なくなる。」
「けど、帰って来ん奴を待っててもしゃあないやろ?オカンかてオトンが死んでから藤井さんと会うたから今が一番幸せなんちゃうんか?」
「それはそうかもしれんけど、多分やで?」
「ん?」
「多分…、おばちゃんはまだ龍平おじさんの事を愛してると思う。」
「はぁ!?」
「龍平おじさんを愛してるおばちゃんを丸ごと受け入れる事が出来る藤井さんやからおばちゃんは幸せなんやと思うねん。」
「やっぱり俺には意味がわからん…。」
身体を洗い終わり、湯船に入る悠真が湯船の中にぶくぶくと沈んでく。
「なぁ、悠真…、私が居なくなったら悠真はあっさりと他の女に乗り換えるんか?」
悠真の頭を小突いてやる。
「だから!?仮定の話は俺にはわからん!」
「私はその程度なんかって聞いてんねん。」
「そういう意味なら答えはNOや。来夢の代わりなんか絶対に見つからん。俺と20年一緒に居るのってお前だけやんけ。だから探せる権利が欲しいんやとなんべん言わせんねん。」
感情でなく論理だけの答えだけど、それが悠真の精一杯の答えだ。