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振り向けば…
第57章 主婦って…
夕べから今日1日中、落ち着かない悠真と居た。
ふざけたりとか全くせずに1日中、考え込む悠真を見るだけの1日だった。
ひたすらお父さんが反対する理由を悠真は考える。
悠真はそうやって物事の全てを掘り下げて考える人だから…。
予約をしてあるお寿司屋の個室でも悠真はひたすら考え込むだけの状況に私は何も言えなくなる。
「待たせたな。」
お父さんを先頭にお母さん、藤井さん、おばちゃんに弟の来人もやって来た。
お父さんはニヤニヤとしてる。
お母さんとおばちゃんはなんとなく苦笑い。
藤井さんだけがニコニコとして私と悠真を見る。
藤井さんを悠真が呼んだという事が藤井さんに喜ばしい事なんだろう。
全員が揃ったのに何故か空気がピンと張る。
「今日は俺の呼び出しにわざわざ集まって頂き、申し訳ありません。」
緊張の空気を跳ね返すかのように悠真が在り来たりな口上を述べ出した。
「要件は、俺と来夢が結婚を決めたので双方の親に認めて頂きたいという事です。」
淡々と話す悠真を私はぼんやりと眺める。
感情が薄いのには慣れたつもりだけど、仕事の説明をするかのように結婚の報告をする悠真って普通じゃないなとか感じる。
「ふーん…。」
悠真の言葉にお父さんがつまらなそうに鼻を鳴らす。
「お父さん…。」
何が気に入らんねん?
そう聞く前にお父さんが広い座卓の上に肘をついて腕を構える。
「ちょっと相手しろや。悠真…。」
何故かニヤニヤとしながらお父さんが腕相撲を悠真に挑んでた。
「悠真!止めとき…。」
私は慌てて悠真を止める。
「なんやねん?自信ないんか?」
お父さんが悠真を挑発する。