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振り向けば…
第57章 主婦って…
そして、ひと月経ったある日…。
『俺は何を言われても仕方ないと思うてます。それでも絶対にコイツとだけは居たいと思うから俺との結婚を認めて下さい。俺がぼーそーするからと不安なら俺は一緒に暮らさなくても構いません。ずっと実家に居てくれても構いません。俺がここに通います。』
と言うたお父さんが土下座をした。
そんなお父さんに、おじいちゃんとおばあちゃんは完全に呆れてたらしい。
お母さんのお兄さんだけがゲラゲラと笑い、お母さんも呆れたと言う。
「結婚して一緒に暮らさなくてええとか…、普通の人は言わんやろ?」
ご機嫌でビールを飲むお父さんを見ながらお母さんがボヤく。
そうやってお父さんとお母さんが結婚をした事だけはわかった。
だけど私と悠真の結婚を反対する理由は?
全くわからんまま、凹む悠真に
「今日は帰ろう。お父さんら飲み出したら話にならんから。」
と声を掛ける。
お寿司屋を出ようとする私と悠真にお父さんが
「悠真、いつでも挑んで来いや。」
と高笑いしながら言う。
だから…。
娘の結婚を腕相撲で決めんな!
そう叫びたい自分を堪えて悠真をお寿司屋から出す。
一言も話そうとしない悠真に不安しか感じない。
「悠真…。」
悠真のマンションに帰り悠真の顔を覗き込む。
「今日は…、1人にしてくれ。」
私の顔すら見ずに悠真がまた俯いてそう言うた。
「悠真!」
後はやはり何を言うても無駄だった。
「送ったるから…。」
そない言うて悠真が私を家に返す。
「ゆうっ!」
不安だから悠真の腕にしがみつく。
また悠真が逃げ出すかもしれない。
愛情がわからない男はお父さんの言いなりになりかねない不安しか感じない。