この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
振り向けば…
第57章 主婦って…
いつものように私の頭を撫でながら私を寝かしつけるだけの悠真。
暖かいと思う。
もう夏なのに私は悠真にしがみつく。
「しっかり寝ろや。」
頬に悠真の唇が掠めて、そんな言葉が聞こえる。
いつも寝かせてくれへんのは悠真やろ?
そう思うのに瞼が開かずに夢の中へと落ちてた。
翌朝、私のベッドには悠真の姿は無く私が仕事から帰ると、やっぱり苦笑いをするお母さんが
「今日も負けて帰ったわ。」
とだけ悠真の事を教えてくれる。
お父さんの方は相変わらずリビングのソファーでタバコを咥える姿を私に見せつけるだけだ。
私は私なりに考えて、ある人と会う事にする。
私の周りで既婚者といえば…。
自分が相談出来る相手が少な過ぎると感じる。
大概の相談を悠真で済ませて来た私は人付き合いが苦手なままだ。
そんな私を理解してくれる数少ない人。
仕事帰りに待ち合わせのファミレスに向かうと私よりも先に来てたその人がとても素敵な笑顔を私に向けてくれる。
相変わらず綺麗な人。
その人の向かいに座って挨拶を交わす。
「お久しぶりです。急に呼び立ててすみません。」
頭を下げる私に少しだけ嫌な顔をする玲奈さんが
「止めてや。てか、たまの来夢の誘いや思うて喜んで来たんやから堅苦しいのは無しや。」
と綺麗な顔を歪めて私を叱る。
姉のような人。
メッセージのやり取りは未だに続いてる。
災害続きの中でも何度も励ましのメッセージを私にくれた先輩しか相談出来る人が思い当たらなかった。
「日下先輩は?」
「子供らの面倒を見てくれてる。」
「お子さん達、良かったんですか?」
「章も『たまには遊んで来い。』言うて送り出してくれたから大丈夫や。」
2人の小さなお子さんが居る玲奈さんは今や主婦だから夜遊びなんか出来ない人だ。