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振り向けば…
第58章 それは反則だから…



そもそも私が忙しくて無理がある時は全てを悠真がカバーしてくれる約束の結婚だったのに…。

その結婚をお父さんに阻まれた挙げ句に本末転倒な喧嘩を私は悠真と繰り返す。


「今夜は帰るわ。せっかくの休みくらい家でゆっくりしたいし…。」

「なら…、送ったるわ。」

「要らん。」


ふてくされて悠真の家を飛び出そうとする私を無理矢理に悠真が引き止める。


「なあ、悪かったから、そんなに怒んなや。」

「だって…。」

「悪かった。だから…、ここに居ろ。そんなに疲れてんなら家事は俺がやるから…。」


私が苛立つ理由がわからん悠真はただひたすら私を宥める事だけに必死になる。

疲れてる。

今までの仕事はせいぜい3件の現場を監督する程度の仕事で暇を持て余してた。

だけど、ここ最近の災害で修復という細かい作業を必要とする現場が増え私が管理を請け負っただけでも現場は20件以上になる。

宮崎さんはその倍を引き受けてくれてる。

別に全ての現場の監督をする必要はないが毎日のように押し寄せる膨大な報告書の山に時間を取られる私はひたすら疲れを抱え込む。

夕方に提出される報告書を残業で捌かなければ翌日の仕事に差し支えが出る状況だから、まともに家に帰り着くのは毎晩21時。

翌朝を考えれば当然、飯、風呂、寝るの生活になり私の帰りを待ってる悠真を蔑ろにしてまう。


「だから…、せっかくの休みの日くらい悠真と居たかったのに…。」

「お前が帰るとか言うたんやんけ。」

「だって、悠真がいちいちムカつく。」

「ごめんなさい!俺が悪かったです。だから明日は来夢がやりたいようにさせたるからリクエストがあるなら今のうちに言え。」


悠真の至れり尽くせり根性は変わらない。


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