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振り向けば…
第58章 それは反則だから…



全てが自分のせいだと考えて自分を責める悠真の悪い癖だと思う。

私には余裕の顔を見せて強がってるけどお父さんの反対に一番傷ついてるのは悠真だと感じる。

自分が普通の人のように眠れないから…。

自分で普通の人の感情が理解出来ないから…。

だから私と結婚するのに自分自身が相応しくないと悠真は考えてるから私に対して怯えてる。

このままだと恋人になる事を頑なに認めようとしなかった悠真に逆戻りしかねない。


「ゆう…、イキそう…。」

「ええよ…。」

「一緒じゃないとやだ…。」

「あー…。」


苦笑いをする悠真。


「一緒に…。」

「ええよ…。」


やっと悠真が動き出す。

肌と肌がぶつかる音…。

ベッドの軋み…。

頭の中が真っ白になる。

悠真しか感じない。

悠真しか感じたくない。

それが結婚なのだろう。

意識を保つ為だけに色々と考えるけど、もう限界。


「イッちゃうからぁ…。」

「イクぞ…。」


私が叫び声を上げると悠真が低く呻く。

イッてくれた?

それを確認する事すら出来ずに睡魔に襲われた。

翌日は昼前まで寝てた。

ベッドに悠真の姿はなくシャワーを浴びて部屋着のワンピース一枚だけでリビングに向かう。


「起きたか?」


夕べ観てたライブ映像をコーヒーを飲みながら悠真が観てる。


「朝ご飯…。」

「サンドイッチならあるぞ。」


近所のパン屋で私が好きな生ハムとフルーツのバケットサンドを悠真が買うてくれてる。

それをコーヒーで胃袋に押し流して


「洗濯しなきゃ…。」


と呟く。


「洗濯なら済ませた。」


私の顔からずっと目を逸らす事のない悠真が私の呟きに答えて来る。


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