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振り向けば…
第58章 それは反則だから…



必死なんだな…。

それはわかる。

だけど…。


「あんまり甘やかすとつけ上がるよ?」


わざと冗談で悠真に釘を刺す。

やっと悠真が笑ってくれる。


「今日は早めにオッチャンと勝負してから水着でも買いに行こうや。」

「水着?」

「来夢は盆休みに旅行に行きたいんやろ?」

「でも…、お父さんは?」

「旅行に行く許可はちゃんと貰う。盆休みまで負け続けるならリベンジは旅行から帰ってからや。」


私が旅行に行きたいと言うたから。

私の我儘を全て受け入れると決めた悠真が無理をしようとする。


「悠真…。」

「疲れてる来夢が嫌いなんや。」


疲れてると私が笑わないから…。

旅行に行けば私はいつもご機嫌で悠真に笑顔しか見せないと悠真が言う。


「ゆう…。」

「キスか?」

「わかっとるなら黙ってしろ。」

「はいはい…。」


悠真とキスをする。

休日の私は悠真に甘えるだけの女だ。


「来夢さん…。」

「何?」

「耳だけ付けません?」


悠真が猫耳を手にしてる。


「却下じゃ!」


私は悠真を蹴飛ばす。


「クソッ…、絶対に結婚したら来夢が寝てる間に付けてやる。」

「やったら即離婚やからな。」

「耳だけでケチケチすんな。」


お互いが甘えてふざけてられる休日が好きだと思う。

だから…。

旅行の前にお父さんと決着をつけてやる。

悠真には悪いが私は私なりに考える。


「そろそろ…、行こか。」


悠真が私を連れ出した。

我が家まで僅か5分。

お父さんは相変わらずリビングで喫煙中…。


「さて…、今日も悠真の相手したるか。」


ふざけたように言うてニヤリとお父さんが笑う。


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