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振り向けば…
第58章 それは反則だから…
負けず嫌いなのはお父さんだけじゃない。
だから…。
「お父さんに私が挑むのは有り?」
そうお父さんに言うてた。
悠真が顔を上げて目を見開いて私を見る。
「来夢!?」
現実的に考えて悠真が勝てないお父さんに私が勝てるはずがないと悠真は考えてる。
私はもしかすれば私に激甘なお父さんなら私には手加減をする可能性に賭けてみる。
「ほー…、来夢が?なら来夢には好きなだけハンデやるから両手でかかって来いや。」
お父さんがそない言うのなら私にはやはり手加減する気だと思う。
「なんぼでもハンデくれるんやな?」
お父さんが構えた腕に私は両手で挑む。
「おう!ハンデはやる。」
「なら私の手首を持ってや。」
私の言葉にお父さんが不思議そうな顔をする。
力点に対するモーメントの違いで出せる力の違いの計算が出来るお父さんじゃない。
私の手首をお父さんに握らせる事で私は本来の力の2倍は出せてお父さんは本来の力の2倍を出さなければ私に勝てない計算になる。
あくまでもこれは理論上の事。
ただ私は両手が使える分、かなり有利になる。
悠真は私のその考えに気付いたようだった。
「まあ、ええわ。ほな行くぞ。」
難しい事は理解が出来ないお父さんが私の手首を持ち腕相撲の体勢に入る。
ほんの一瞬だけお父さんが眉を顰めた。
勝てる!?
そんな考えは一瞬のぬか喜び。
両手で挑む私の手はピクリとも動かない。
どんだけの怪力!?
じりじりとネズミを弄ぶ猫ようにお父さんが私の腕をテーブルに近付ける。
「ほらほら、来夢も気合いと根性が足らんぞ。」
「こんのーっ!」
お父さんはやはりお父さんだ。