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振り向けば…
第58章 それは反則だから…
それは反則だから…。
それは卑怯だから…。
何かと真面目に考える私は枠に囚われてるとお父さんが言う。
「反則だろうが卑怯だろうが最後は勝ったもんが生き残るねん。別に俺みたいにぼーそーして欲しいとは思わんよ。けどな家族を守る為に卑怯とか言うてられへん時かて来る事がある。」
頭でっかちに私が考え過ぎればそれは悠真の負担になるとお父さんから初めてまともな父親としてのお説教を受けた。
「悠真もな。そろそろ1人で全てを背負い込もうとする考え方を直せ。男なんかあれこれ自分が動き回っても女は不満な顔しかせえへんわ。女に不可能な部分だけを補ってやる程度で気楽に考えんとまた寝られへんようになってまうだけやぞ。」
腕相撲を1ヶ月も1人で挑み続けた悠真にお父さんが軽く眉を釣り上げる。
初めて悠真を叱るお父さんを見た。
「寿司屋の予約して奈美と藤井さんを呼べ。お前らの婚約祝いをしてやるから…。」
お父さんは私と悠真にそれだけを言うたらお母さんを呼びつける。
「負けたわ。」
「そりゃ、おめでとう。」
お父さんの言葉にお母さんは呑気に笑う。
ひとまず私と悠真は買い物の予定をキャンセルして私の部屋に避難する。
「えーっと…、意味がわからん。」
まだお父さんの言うた言葉が理解出来ない私は今の状況の把握が出来ない。
ただ悠真はクスクスと笑う。
「俺も来夢もこれ以上は考え過ぎんなって事やろ。」
私を抱き上げてからラブチェアーに悠真が座る。
「考え過ぎか?」
「多分な。」
何も考えないお父さんらしいお説教。
「オッチャンから見たら俺も来夢もくだらない事を考え過ぎなんやろな。」
そない言うて悠真が私にキスをする。
「なんか一気に疲れが出た…。」
ひとまず、お父さんという壁を乗り越えた私が欠伸をする。