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振り向けば…
第60章 振り向けば…



「どんだけ俺が馬鹿やったり傷付けたりしても来夢なら俺を許してくれる気がするんや。」


悠真が再び私を見て笑う。

人の感情がわからない。

自分の感情すらわからなくなる時がある。

怒りに任せて吐く悠真の言葉は冷たくて残酷で平気で人を傷付ける。

他人だと許されない言葉。

それでも家族なら許される時がある。

弟の来人は私を馬鹿にする。

他人なら絶対に許さない。

でも来人は家族だ。

私は結局来人の態度を許してる。

それと同じだと悠真が言う。


「だって、悠真は家族やったやん。」

「普通に考えたら、家族ってそんな簡単になれるもんとちゃうぞ。」


離婚をする人とは家族になり切れなかった人だと悠真が言う。

岩谷さんを例え話に悠真が出す。


「唯ちゃんは家族やけど、唯ちゃんの母親は家族になれなかった人やろ?」


許す事が出来なかった関係。


「私だって浮気はさすがに許さないよ。」

「当たり前やんけ。その当たり前をやるほど奥さんは岩谷さんが許せなくて許して貰おうとも思わんかったから離婚して他人の道を選んだんや。」


だから悠真は私に許されたいと願い、私がやる事を許すと決めたと言う。

私が仕事を続ける事を許した悠真。

ギブアンドテイクなのだから私は悠真が多少の馬鹿をやっても許してまう。


「それが家族ってものやと俺は思う。仮面夫婦だけはお断りや。」


人の感情の理解が難しい悠真ならではの考え方。

その関係が出来るのが私だけだと悠真が言う。

やっぱり悠真の考え方は私よりも1歩先にあると改めて思う。

私はまだまだ未熟者。

ガテン系ですぐにぼーそーする女の傍に居たいと悠真が言うから私は真っ直ぐに突き進む事が出来る。


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