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振り向けば…
第60章 振り向けば…
食事の後はビーチの散歩をする。
修学旅行で出来なかった事を悠真とやる。
大阪じゃプラネタリウムくらいでしか拝めない満天の星空を悠真と見上げる。
水平線のぎりぎりまでが星空。
修学旅行では夜間外出は禁止された為にこの星空をホテルの窓からしか見れなかった。
今は私の全身を包むような星空が広がる。
手に届きそうなほど近い星空。
手を伸ばすと吸い込まれそうな感覚がする。
広い宇宙空間で孤独に漂う自分を妄想した。
背筋にゾクリと寒気がして身震いをする。
孤独は嫌だと私の本能が疼く。
その本能が私を振り向かせる。
振り向けば…。
私は孤独じゃないと現実に私を引き戻す人が居る。
「ゆう…。」
手を伸ばせば、ゆっくりと悠真が私の傍に寄り添って立つ。
私の腰を引き寄せてから私の頭にキスを落とす。
「満足したか?」
修学旅行で私がやりたかった事のほとんどを悠真がやらせてくれた。
後は明日1日で島観光やお土産の買い漁り、グルメ巡りをするだけと決まってる旅行。
満足過ぎると思う。
背中に感じる悠真に甘えるようにしてもたれてからもう一度星空を眺める。
私は1人じゃない。
そう感じて見る星空に孤独の恐怖が消える。
「まだまだ…。」
そない言うて悠真を挑発してやる。
まだ私と悠真の旅は始まったばかりだと思う。
広い宇宙を眺めると私と悠真の知らない世界がまだまだたくさんあるのだと感じるから…。
今はまだ満足なんかしたくない。
もっと先に進みたいと私は思う。
それが1人だと怖くて立ち止まって進めなくなる。
でも2人ならなんとかなるかもしれないと私のぼーそーは止まらない。