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振り向けば…
第7章 いつか連れてったる…
「来夢か?」
コンビニの袋を持った溝口先輩が道の真ん中に立ってた。
「先輩…。」
「遅いから…、心配した。」
「うん…、ごめんなさい。」
「まぁ、上がれや。」
先輩の家にドキドキとして上がる。
「お邪魔します。」
「こっち…。」
先輩の部屋は2階にある。
勉強机と本棚とベッドのある部屋。
ミニコンポで先輩が音楽を掛ける。
相変わらずのパラパラ用ダンスミュージック…。
「先輩…、これ…。」
チョコレートの紙袋を渡すと先輩が嬉しそうな顔をしてくれる。
でも…。
先輩の机の上には山積みのチョコレートがある。
今日は先輩がグランドや渡り廊下で女の子に囲まれてるのを何度か見たから覚悟はしてたけど、あからさまに戦利品の山を見せられると嫌な気分になる。
「妬いてんの?」
先輩が私の肩を引き寄せる。
「別に…。」
先輩がモテる人だとは知ってる。
「妬いてくれや。来夢って感情を出さへんから不安になるわ。」
「私が?」
先輩を見上げた瞬間に先輩の唇が私の唇に重なった。
どんな反応をすべきかすらわからない。
映画とは違う。
少し喰むように先輩が私の唇を吸う。
ゆっくりとキスが離れた。
「もしかして初めて?」
小さく頷くしかなかった。
「やったね!来夢のファーストキスを貰った。」
溝口先輩がニヤリと笑う。
私だけがアタフタとする。
私は先輩が好きなのか?
きっとキスが嫌じゃないから好きなのかも?
自分の気持ちすらわからない。
「好きだよ。」
先輩がまたキスをする。
それ以上はなかったけど、恋人と過ごすバレンタインデーという経験だけは出来たような気がした。