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振り向けば…
第7章 いつか連れてったる…
何の不満もない。
お父さんの手術だって凄い先生が成功したと言うてくれた。
彼氏だって居る。
学校では大学は大丈夫だという成績に収まってる。
なのにいつも心にぽっかりと穴が空いたような感覚に襲われる。
暇やな…。
バレンタインデーが終われば私にする事がないとか考える。
趣味とかない。
夢中になるものもない。
上手くなりたいものもない。
水泳?
泳がれへんもん。
パラパラ?
踊られへんもん。
カラオケ?
歌われへんもん。
その程度の高校生。
不器用で冷めた高校生。
家に帰って自分の部屋に向かう。
…。
……。
………。
「なんでお前が居る。」
私のベッドに転がり携帯でゲームをしている悠真に言うてやる。
「おかえりが先やろ?」
「それを言うなら、ただいまやろ?」
何故、悠真に挨拶の文句を言われてるのだ!?
「だから、何しに来た!?」
「チョコレート…、美味かった。」
「そうか…。」
それだけを言いに来たのか?
てか、よく名前も書いてない玄関のチョコレートが私のものだと気付いたものだと不思議に思う。
「お前のじいさんが俺に半分食うかって持って来たチョコレートと同じもんが玄関にあったらお前のチョコレートってすぐにわかるやろ?」
おじいちゃんの分まで食べたと言う悠真に笑ろうてまう。
「鼻血出るで…。」
実は花粉症で鼻の粘膜が弱い悠真…。
「今晩は1発抜いて寝るから出えへんわ。」
「抜く?」
「右手でちょっとシコシコと…。」
手を上下させる悠真を蹴飛ばした。
「変態をするなら帰れ!」
「キレんなや。暇やってん。」
私と同じ事を悠真が感じてる。