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振り向けば…
第7章 いつか連れてったる…
クラス中の女子と男子が悠真と陽斗に笑ろうてる。
「なあ、来夢…、陽斗に実は俺が天才やって教えてやってくれや。」
「誰が天才やねん?」
「俺に決まってるやん。将来は高級車に乗ってギャルを毎晩いわしたる。」
「まぁ…、頑張れや。」
呆れながらも一応は励ましてやる。
理数に来たのなら、陽斗も悠真もそれなりの努力をしたのだろうと感じたから…。
授業が始まると特にそれを感じる。
1年とは違い、誰もが授業に集中する。
先生の声と黒板の上をチョークが走る音しかしない。
無駄な会話はない。
よそ見すらしない。
大学に行きたければ集中しろ。
誰もがそれを理解してるクラス…。
だから他のクラスが騒いでると教室の空気がピリピリとする。
その分、休憩時間の悠真のアホっぷりはクラスの雰囲気を和やかにしてくれる。
この年も私は副委員長に選ばれた。
経験者がいいというクラスの判断。
1年生が入って来て、3年生の教室が見える渡り廊下でキャーキャー言う声が増えた。
こんちゃん先輩や溝口先輩が窓際に居るから…。
相変わらずの学校生活…。
昼休みは食堂に集まる。
「中間テストがやばかったから…、推薦がやばいな。」
溝口先輩が凹んでる。
「まだ期末があるやん。」
「日下は余裕やろ?」
「まぁな。」
そんな会話が繰り広げられると受験が近いのだと実感する。
私には後1年時間がある。
「来夢…、あんまり遊んでやれなくてごめんな。」
溝口先輩が私に気を使う。
「勉強が優先です。」
「えーっ?ちょっとは寂しいとか言うてくれよ。」
受験が優先は当たり前だと思うてた。