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振り向けば…
第8章 お前と同じ大学…
アパートの前で悠真の自転車を確認すれば、そのまま家に突撃する。
「いきなり何やねん!?」
「なんで美保を振った?」
「あー…。」
美保が私の親友だからと悠真が気不味い顔をする。
「そりゃ、美保はええ女やとは思う。けど…、俺、受験生やから…。」
悠真が情けない顔をする。
「受験?」
「一般入試…、やっと学費の目処が付いた。」
「どこ受けるの?」
「お前と同じ大学…。」
悠真がニヤリと笑った。
公立の大学にするか迷ったらしい。
私が行くのは私立…。
4年という学費に悠真は尻込みしてた。
それでもパソコンで稼ぐお金が安定したからと悠真は私と同じ大学を選ぶ。
この頃にはクリエイターとして悠真は既に才能を発揮してる存在だった。
「無理に私立にしなくても…。」
「そのくらいは余裕で行ける男じゃないとカッコ悪いやんけ?」
「充分にアホでカッコ悪いよ?」
「やかましい!」
悠真とふざけて悠真と笑う。
何故、私と同じ大学を選んだのかはわからない。
しかも同じ建築学科を目指すとか言う。
建築には興味がないくせに…。
呆れながらも悠真が一応は大学に行く事を決めたから安心した。
受験は多分大丈夫…。
悠真はやると決めた事は必ずやり遂げる奴だから…。
その冬休みはご機嫌だった。
「来夢…、腹減った。」
勉強に疲れた悠真がうちに現れる。
「ほら…。」
うどんやらラーメンやらをその都度、悠真に与えてやる。
「明日はグラタンがいい。」
「我儘を言うな。」
「受験生を労わってくれ!」
「やかましい!」
いつもと変わらない光景をお父さんが笑って見てた。