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振り向けば…
第8章 お前と同じ大学…
学校が始まると美保が悠真のお弁当を作って来るようになる。
あくまでもお礼のお弁当だから悠真は断らない。
だけど卒業前だからと次々に悠真に告白をする女の子は順番に悠真が断る姿を見かける。
その度に悠真を冷やかしてやる。
「旦那…、モテモテやね?」
「お前もやろ?」
私もって…。
僅か2人ほどが付き合いたいとか言うて来た。
なんとなく気が乗らなくて丁重にお断りをした。
悠真の家に時々行って勉強をする悠真の夜食を作ってやるのに忙しいから今は彼氏とか面倒だと思う。
「ぐはっ!?」
何故か悠真が鼻血を出す。
「勉強に興奮するんか!?」
「来夢さんが居るからシコシコが出来ないの…。」
「なら…、餌は要らんねんな?」
「作って下さい。お願いします。」
アホがそれなりに勉強をするからご飯くらいは応援してやりたいと思った。
そんな悠真が無事に大学を合格をして私達は高校を卒業する。
大変な事が日本で起きた。
東日本大震災…。
大学に入学をしてもその話題で持ちきりだ。
「来夢…。」
日下先輩が声を掛けてくれる。
先輩は違う学部。
「東日本…、凄いですね…。」
「大学でも募金やってる。」
津波の映像を見て恐怖を感じた。
自分にも出来る事はないかと考えたりもした。
「ちょっと…、東北に行って来る。」
お父さんがそう言い出す。
関東の知り合いの解体業者から助けて欲しいと言われたからだ。
「お父さん…。」
身体が心配だった。
癌がまた再発したら…。
怯える私の頭をお父さんがゆっくりと撫でる。
「困った人は助ける。それだけの事や。」
そない言うてお父さんが家から出て行った。