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[改]プラチナ
第1章 プラチナ
「花火大会の日くらい、僕の為に空けといてよね……」
淋しさから漏れた僕の言葉は、畳の上で横になる大地に届かない。
浅黒い肌、太い腕、逞しい背中。
肉体労働で疲れたのだろう。
夕食を食べた後、直ぐに眠ってしまった。
ここ最近は、本業のカメラの仕事も舞い込み、大地に休日などはない。
働く大変さは、理解してるつもり……
けど、まだ高校生の僕は……多分解ってない。
だから、こんな台詞が簡単に口から飛び出してしまうんだろう……
「……ゆ、浴衣、…着てあげる、から……」
手にしていた大地のスマホをテーブルに置き、逞しい背中に身を擦り寄せて耳元で囁く。
すると大地がもぞっと動き、僕の方へと身を返すと、瞳を閉じたまま僕の背中に腕を回す。
瞬間、大地の肌の熱が伝わり、汗臭さと共に煙草と大地自身の匂いに包まれる。
「……わかった、空けとく」
低くて甘い、大地の少し掠れた声──それが、僕の鼓膜を優しく擽った。