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閃光
第1章 閃光
…ドォーン!

突然聞こえた大きな破裂音
助手席側の窓から、闇に煌めく金色の花火


それまで緊迫していた空気が、一瞬で緩む
ただ静かに、ぼんやりと眺めていた凛の背中がシートから浮いたのに気付き、真翔は路肩へと車を止めた

「…綺麗だな」

思わず呟いた真翔は、凛に視線を移した後、直ぐに口を噤む

先程の様な二の舞を演じるのはごめんだ…
しかし、その美しさを前にしてしまえば、共感して欲しい、という気持ちが湧き上がってしまう

「俺たちへの、手向けか」
「……」

小さく呟いた真翔に、凛は首を捻って尖った視線を向ける
相変わらずその表情は何処か冷め、此方に立ち入るなと言わんばかりだ
しかしそれに憶せず、真翔は再び口を開く

「去年の今頃、花火を見たんだよ……恋人と二人でね
……あの時はまさか……こんな未来が待っているとは、想像もできなかったけど…」

鋭い眼光のまま凝視する凛に、真翔は眉尻を下げ視線を少し外す

「綺麗な人だったんだ、俺には勿体ない位……
遠慮している内に、俺の手からすり抜けていってしまった」
「……」
「…キス、どころか……怖くて手を繋ぐ事すら出来なかったなんて……いい大人が、情けないだろ?」

乾いた笑いを漏らす真翔に、凛は相変わらず冷ややかな眼光を向ける
そのフェイスラインに、上がった花火の青や赤がぼんやりと滲んでは消えた

「……ないんだ」

凛の唇が僅かに動く
それに驚いた真翔は、返事も忘れて凛をただ見つめ返す

「キスした事……」

それは、人を見下した様な小馬鹿にしたものではない
言葉だけ聞けばその様に感じてしまうが、少し目を見開いた辺り、単純に驚いたといった感じだろう
しかし、どちらにせよ真翔には気分の良いものではない物言いだ

「……ああ」
「変なの」

凛の冷ややかな視線の中に、僅かに興味の色を見せる
それに対し、小さく溜め息を漏らした真翔は、口を開いた

「……相手は既婚者だ
お互いの気持ちを知ったのは、入籍を済ませたすぐ後だったんだよ……」
「……」

少しは心が動いたのか、冷ややかな視線のまま凛の瞳光が一瞬揺れ動く
それを悟られない様にする為か、瞬きをすると再び車窓の外に顔を向けてしまった

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