この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
姦譎の華
第1章 1



 会社に残って良かった。心底そう思った。

 ふくらはぎから続く脚線は、膝頭で収束するとみせかけて、浅はかな発想を嘲るように再びせり出していた。濃藍のスカートが教えているのは婉やかな輪郭だけ、それ以上の不届きな視線は手厳しくシャットアウトしている。丈は膝にかかり、とびきりのタイトでもない。形としては大人しい部類に入るだろう。

 しかし裾までギャザーが山型に寄せられたデザインは、並の女ならビジネスの場では奢侈となりそうなものを、ひたすらに長い脚が余計な心配をするなと一蹴してくる。

 まるで、天幕のかかった祭塔が、跪いた前に聳えているかのようだった。
 さながら俺は、苦難の果てに聖地へ辿り着いた巡礼者だ──

 本気でそんな感慨にとらわれつつ、稲田は震える両手を伸ばしていった。

 交互に差し出されるこの脚が自席近くを通り過ぎる際、スリットの内側が垣間見えただけでも、人知れず心臓と股間を逸らせてきた。そんな自分が、滅多な者では立ち入ることのできない禁忌の場所へ、まさに踏み込もうとしているのである。

 はたらこうとしているのは、紛うことない冒涜だった。
 指が震えてしかるべきだし、

「お……、おお……」

 裾が上がるにつれて明らかとなっていく、ベージュのストッキングに包まれた脚肌を目の当たりにしただけで、不様な呻きが漏れてしまうのもまた、ごく当然のことだった。

 天幕は目の高さまで捲りおおせた。あと少し両手を上げれば、納められている御神体と対面することができる。

 もちろん、人の下半身がどのような形状をしているのかは承知している。だからこれから、どのような光景が目に飛び込んでくることになるかも、よくわかっているつもりだ。

 にもかかわらず、息苦しさに胸が喘いだ。

「み……、みみ、見ますよ?」

 緊張で喉がからみつき、気色悪い、粘着質な声音となってしまった。
 両側に垂らされた指先がピクリと動く。

 この人をしても、この誰に対しても誇ることができよう美脚をもってしても、スカートを押さえつけたい衝動に耐えている……。
/278ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ