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姦譎の華
第1章 1
生唾がいや溢れた。
だが稲田は手を動かさなかった。
動かすことができなかった。血走って澱んだ眼を、唇を結んだ聖女へと向け続けた。
視線を脇へ逸らして「その瞬間」に備えているのに、長く続いた無為の時間が、睫毛に飾られる双眸を足元へと戻らせた。
「みっ、見させてもらい……、ますからね?」
目が合った瞬間、吃りつつ念押しをすると、流れるように引かれた眉の間が深く刻まれた。浴びせられる睥睨には、苛立ち、憤怒、それだけではない、忍辱もひしひしと感じ取れる。
「いちいち訊いてないで、さっさとやればいいじゃ、……っ!」
ここまで丁重に捲ってきたというのに、堕罪へ背を押された稲田は、聖女が裁可を下し切るのを待たず一気に裾を引き上げた。
「ふぁっ、はぁ……!」
とたんに、肉棒の先がチュルッとした。恐縮のあまり失禁してしまったかと疑うほど、こんな量の先走りは生まれて初めてだった。
聖域もまた、ストッキングに包まれていた。
付け根から巡らされた刺繍が、斎垣のように厳重に内部を守ろうとしていた。
けれども網霞越しでも、向こう側の様子は充分に窺い知ることができる。
スカートの上からでも悩ましかった場所は、いざ目にしてみると、かき立てられてきた想像をはるかに超えた威容だった。魂の底まで魅了してくるまろやかさは、ガードルなどで作為されたものではない、御身が備える骨格と筋肉のみによって顕現されたものだったのだ。
そして、透け見える魅惑の布地。
中枢を護るのがこんな華奢なもので大丈夫なのかと当惑するほど、ストッキングよりも肌身に近い色合いの三角形は、サイドもフロントも繊美なレースが編まれており、布地で完全に遮封されているのはシームが中央を渡る流線型の部分のみだ。
だが稲田は手を動かさなかった。
動かすことができなかった。血走って澱んだ眼を、唇を結んだ聖女へと向け続けた。
視線を脇へ逸らして「その瞬間」に備えているのに、長く続いた無為の時間が、睫毛に飾られる双眸を足元へと戻らせた。
「みっ、見させてもらい……、ますからね?」
目が合った瞬間、吃りつつ念押しをすると、流れるように引かれた眉の間が深く刻まれた。浴びせられる睥睨には、苛立ち、憤怒、それだけではない、忍辱もひしひしと感じ取れる。
「いちいち訊いてないで、さっさとやればいいじゃ、……っ!」
ここまで丁重に捲ってきたというのに、堕罪へ背を押された稲田は、聖女が裁可を下し切るのを待たず一気に裾を引き上げた。
「ふぁっ、はぁ……!」
とたんに、肉棒の先がチュルッとした。恐縮のあまり失禁してしまったかと疑うほど、こんな量の先走りは生まれて初めてだった。
聖域もまた、ストッキングに包まれていた。
付け根から巡らされた刺繍が、斎垣のように厳重に内部を守ろうとしていた。
けれども網霞越しでも、向こう側の様子は充分に窺い知ることができる。
スカートの上からでも悩ましかった場所は、いざ目にしてみると、かき立てられてきた想像をはるかに超えた威容だった。魂の底まで魅了してくるまろやかさは、ガードルなどで作為されたものではない、御身が備える骨格と筋肉のみによって顕現されたものだったのだ。
そして、透け見える魅惑の布地。
中枢を護るのがこんな華奢なもので大丈夫なのかと当惑するほど、ストッキングよりも肌身に近い色合いの三角形は、サイドもフロントも繊美なレースが編まれており、布地で完全に遮封されているのはシームが中央を渡る流線型の部分のみだ。