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姦譎の華
第19章 19
 島尾がそこを貪ったのは、正面からだった。これまでの男たちは皆、獣の姿勢をさせて後ろから口で及ぶなんてことはしなかった。あまつさえ、今の今まで他人の体液が充溢していた場所を、平気で──

「──きゃあっ!!」

 あどけない悲鳴なんて、いつ以来か知れない。

 経験のない後ろ向きとはいえ、牝唇に触れてきたときの直覚は、ある程度の想像がついていた。しかし稲田が吸い付いてきたのは、露出するも見て見ぬふりをしてくれるものだと過信し、全くの無警戒だった上側の窄まりだった。

「な、なに……、……何してるのっ!!」

 恥辱に消沈し、突っ伏している場合ではなかった。肘で身を起こし、遁逃するように背をこごめる。稲田はタックルさながらにしがみつき、いくら膝を踏もうが追いかけてくる。その最中も、ひっきりなしに皺口を啄まれた。

「……いっ!」

 唇から伸びてきた舌が、巾着の外輪をなぞった。

「エォ……、オエッ……、ンオェッ」

 直後に濁ったえづきを聞かされて、寒気が背を走り、鼻奥がツンと滲みた。

「あっ……、ああ……、やっ、やめて……」

 嗚咽まじりに許しを乞おうとすると、稲田は咳き込みながら、

「ここまで垂れてないと思ったんだけどなぁ……。ザーメン舐めちまった。最悪だ」

 と呟いた。

 嘔気の理由を誤解していたと知った下肢の力が自然と抜ける──、油断してはいけなかった。

「……うあぁっ!!」

 次の瞬間、四つん這いの背が、大きく仰け反った。

 苦々しく毒づいていながら、再び不浄の窪地へと吸いついた稲田は、今度は縁を巡るのではなく、窄まりの中心へと強く舌を突き立ててきた。

「あ……、あっ……、うっ!」

 括約筋を打ち負かした舌先が丸穴を開く。内部に押し入った鉤先が、壺裏を刮いでくる。

「おっ、おねがいやめてっ、……きたないっ!」

 背骨が引きずり出されそうな感覚に叫び声を放つと、

「ひひゃない? 大ひいほうひたとき、ひっかりふはなかったんれすふぁ?」
「……な、何を言って……んんっ!」
「だいひょうふれすよ。んごっ……、べふに何か、味がひても……」
「ううっ! や、やめてっ……、と、とにかくっ、やめてっ……!」
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