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姦譎の華
第31章 31
 多英を肉奴隷にしてやろうと、思いつくだけの傲慢なセックスをしてやった。しかし聖女を拝跪させたとは到底言い難く、目の前に立たれる神々しさは頑として健在で、指や舌、肉槌で姦し回し、猥乱に女を悶えさせるのはイメージの中では圧倒的存在であるはずなのに、反応をいちいち嬉しがる卑屈な痴れ者感が、どうしても丸出しになってしまう。

 自分がやろうとしていたのは所詮、「プレイ」だった。お遊びなのだ。

 愛紗実に出遇して痛感した。女らしく、可愛らしい。稲田が見てもそう思える愛紗実なのに、振るわれる暴虐に遊び心は微塵もなかった。腹を蹴るなんて、自分にはとてもできない。恐ろしい掻痒を生む食べ物を聖域に突っ込むなんて発想も、決して浮かびはしないだろう。何もかもが、自分の度量をはるかに超えている。

 王様の子は王様、奴隷の子は奴隷。
 自分がどちらかは言うまでもなかった。

 愛紗実に隷従していれば、きっと、至高の女体をふんだんに舐めさせてもらえる。ヒップの割れ目に顔を突っ込み、慎ましやかな窄まりを舌でほじらせてももらえる。脚に肉槌を挟み、腰を振らせてもらうことだってできるだろう。そうして尽くしに尽くし、尽くし尽くせば、この卑しい肉槌を、類稀なる女洞に埋ずめさせてもらえるチャンスに恵まれるかもしれないのだ。分際を弁えてさえすれば──

 ようやく、島尾と稲田は愛紗実の前に辿り着いた。

「おっそいっての」
 愛紗実は隷奴たちの前に仁王立ちとなると、「ノロマで申し訳ありません、は?」

 しかし矛先は、多英だけに差し向けられていた。息絶え絶えの横っ面へ、目覚ましの平手を叩き込む。

 あ、次はグーでいくって言ってたんだった──決めた掟を自ら破っても、それを咎める者はいない。

「うっ……、あ……、のろ、くて……、もうし……あうっ!」

 煙草を咥えたまま、愛紗実はもう一発叩き込んだ。

 利き手ばかりで張っているから、常に叩いているのは左の頬。そろそろ腫れて歪んできても良さそうなものだが、目の前の佳容は一厘も崩れてはいなかった。

 舌打ちをして、もう一発、寒風で呻きがよく聞こえなかったから、もう一発。吹き荒れる風の中に打ち鳴らす。
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